きままなDIY

趣味のDIYの備忘録をメインに、気ままに書きなぐるブログです

オーディオラックの振動について考えていること

オーディオラックの振動について以前製作したものを対象に簡単に計算しましたが、考えるところがあり、書き殴ってみます。インターネット等見ていてもあまり参考となる文献や記述がなく、実際のところどういった設計になっているのか気になっています。

オーディオラックを振動させる外力として駆動系部品や、トランス等の振動があるとすれば50Hzもしくは60Hzで振動する可能性があるということで、今回製作したものについては固有振動数から外せているので、よいかと思っています。
先に書いておきますが、ラックの振動が抑えられる事で、音が良くなるとは全く思っていません。あくまでも駆動系の振動等で共振が防げたり異音が発生しなければいいな程度の認識です。
製作したオーディオラックの固有振動数は予想していたよりも小さな振動数となりました。実際に市販してあるオーディオラックと構造自体は似ているため、市販されているものについても同じような固有振動数になるのではと思っています。
今回のラックは、壁のような構造ではなく4本の支柱で支えているため水平方向の剛性はそこまで高くないため比較的小さくなったようです。壁のような構造であればまた変わってくると思います。
 なお剛性を高くして固有振動数を引き上げると、人間の可聴振動数が20Hz~2万Hzといわれていますので、その振動数の音がスピーカーから出てラックを揺らしているとすればオーディオラックの固有値が20Hz以上だとアウトだと考えることもできるわけです。このラックで初めて計算してみましたが、高剛性を謳っている市販のラックが沢山ありますが固有振動数はどの程度なのでしょうか。気になっています。

 振動については、ラックの質量に比べ設置する機器の質量の方が大きくなる場合もあるため、結局のところ機器の質量次第で全体の固有振動数も大きく変わってきますよね。最上段に重たいアンプなんか乗せようものなら、ご想像の通りです。ただ、共振点からはずすという観点に立てばあながち間違いでもないと思っていて、オーディオにおいて考慮する必要のある外力の振動数は比較的高いものばかりのため、オーディオラック全体の固有振動数を低い側へ狙ってセッティングするのはありだと思っています。

振動工学の本を読んだことがあれば見た記憶がある方もいるかと思いますが、下の図は有名な1自由度系の変位共振曲線です。 f:id:khdo:20180724190242j:plain

縦軸は変位の拡大率、横軸は振動数ωと固有振動数ωnとの比率です。

ちなみに、このグラフは、以下の式で減衰定数hを変えることでエクセルで作成しました。

変位の拡大率=1/[{1-(ω/ωn)2}^2+(2hω/ωn)2 ]^(1/2)


ここで各線は減衰定数の違いで、減衰定数が大きくなるほど変位の応答倍率が小さくなります。市販のオーディオラックは、減衰するような部品がありませんので減衰定数hはほぼ0に近いんじゃなないかと思います。 振動数ωが固有振動数ωnと一致するところで、変位の拡大率が大きくなる共振現象がよくわかります。上で固有振動数をずらす話を書き殴りましたが、この図で何が言いたいかというと、オーディオラックの固有振動数を低い振動数側に設定しておけば、外力として想定する振動は振動数が大きい(20Hz~)ため、グラフ右側の状態となり変位の拡大率が小さくできるということです。
なお、拡大率を下げるためには「剛性を上げればいい」、「ラックの重量を重くすればいい」と思われるかもしれませんが、上の式で共振時ω/ωn=1を入れると、変位拡大倍率の式は、変位の拡大率=1/(2h)となり、剛性や質量に影響を受けず、減衰定数のみで決まることが分かります。ラックの剛性をたとえば2倍とか3倍にして拡大前の変位を小さくできても、減衰定数がほぼ0に近く拡大倍率がかなり大きいため、意味がない気がしています。


オーディオラックが欲しいなと思って調べてみたら、よくわからない理論で高額な製品ばかりで、なんだかなー思っていました。自作ラックが流行るのも頷けます。
共振点から外すことの大切さがわかる記事でした。