きままなDIY

趣味のDIYの備忘録をメインに、気ままに書きなぐるブログです

スピーカーのDIY(製作編その1)

スピーカー自作の続きです。 材料はタモ無垢の板です。 板厚は9mm

若干心もとない気がしますが気にしません。

スライド式丸のこで切断したのですが、タモはきりにくいですね。癖があるためかチップソーに抵抗がある感じ。 噛まないように工夫が必要ですねこれは。9mmでこれだから、厚板はきりたくないな。

先にff125wk用の孔を開けていきます。

孔径は105mm

自在錐でサクッと切り出します。ほの孔も同様。

でできたのがこれ。いい感じの出来。

孔あけ完了

箱の部品も切り出していきます。

加工工程は省略します。

で養生テープで仮組した姿がこれ。なかなかよさげな外観!

仮組した箱

こだわったのは、縁にテーパーを付けたこと。

箱の縁にテーパーを付けた

埋め込んである鬼目ナットは、サランネット用です。

まだ続きます。

スピーカーのDIY

5年ほど前に購入して、ずっと資材ボックスの中に転がっていたfostex社のフルレンジユニットff125wkですが、ずっと鳴らしたいと思いながら、エンクロージャー(スピーカーの箱)がない状態でした。 少し日焼けした姿も、味があっていい感じ。 ウレタンと思われるエッジもベタつきも無く使えそう。

昔購入して放置していたFF125wk

gwに向けて久しぶりに本格的なdiyをしたいと思います。

そのための下準備として、図面を描きます。

話が飛びますが、フルレンジユニットのいいとこは、小難しいことを考えずにポン付けでちゃんと鳴るとこですよね。

大音量で聞くわけでもないので、音質は気にしません! 見た目第一優先です。次にコスト。そんな感じで昔このユニットを購入していました。

このユニットを前回使った時はメーカー推奨の容量を確保した箱を自作しましたが、今回はせっかくなので見た目優先で2wayにしたいと思います。

スピーカーの自作した画像を探していると、容積を大きくするために、大きな箱にユニットがぽつんと付いてるみたいなのをよく見ます。ぽつんと一軒家ならぬ、ぽつんとフルレンジ。

計算上そうしたい気持ちは分かるのですがアレがどうしても許せなくて。見た目が非常に悪いです。 人がくる部屋には置きたくない。

あと、大きすぎるとハンドリングが悪くて持ち運びに困る。

ということで、小さい2wayにしたいと思います。

エンクロージャーなんか、カッコイイワードは似合わないので箱と呼びますが、箱の横幅は、ユニットギリギリを攻めます。高さはバスレフポートとツイーターがうまい感じにはまった高さにします。設計思想は以上。 容量の計算はバスレフポートの長さを決めるためだけに後から計算します。

ツイーターは小さいやつがカッコイイですよね。 あとはユニットに比べ、フレーム?ベゼル?が極端に大きいのはカッコ悪い。しゅっとしたリボンツイーターは見た目いいのですが高いのでソフトドームに。 こうやって見た目で条件を絞って行くと意外と欲しいのがない。

で、色んなサイトをめぐって、いきついたのがこのツイーター。見た目完璧ドストライク。 ノーブランドで詳細不明。評価不明。 分かっているのは6オームということだけ。 鳴らしてみないと分からない。 ひとつ1000円くらい。 悩まず即決で買いました。

ツイータ(単4電池と同じくらいの大きさ)

バスレフポートもツイーターが小さいので、大きさをあわせるように直径を小さくして、その代わり長さを長く。

ユニット2つとバスレフポートはすべて全面に配置します。

配置するためにイメージしたのは、一昔間のbmwのバイク。異形ヘッドライトを左右非対称に配置するデザインでかっこよかった。 ツイーターとバスレフポートの配置は、bmwに対抗意識を持ちながらいい感時になるように特に場所を決めず、ポンとイメージで配置しました。

で、できた図面がこれ。bmwぽっく、はないか。。

作成したスピーカーの図面

とりあえず図面と材料調達まで完了したので、次回製作編です。

オーディオラックを柔らかく支えてみたい

最近何故かアクセス数が伸び始めたので、もう少しオーディオラックの考察記事を書いてみます。

テーマは、表題の通り「オーディオラックを柔らかく支えてみたい」です。

意味が分からないかと思いますが、柔らかい構造にしてオーディオ機器に作用する物理的な力を減らしませんか?という内容です。

内容的には前回の1自由度の共振曲線を前回示したとの同じですが、もう少し分かり易い考察です。

市販の高級そうなオーディオラックや自作しているラックの設計思想を見てみると、いかに硬く、そして強くして振動を抑え込むみたいなコンセプトで溢れています。たとえば物凄い板厚の大きな木材でガチガチに固めたものや支柱の剛性を強くし、かつラーメン構造にしてあったり。そして何故かかなり高価であったり。。

けど考えてみて下さい。自分がオーディオラックに載せられるアンプだとして、ガチガチの硬いものに載った場合に載り心地がよさそうですか?(振動が減らせそうな感じがしますか?)

車を想像すると分かりやすいのですが、乗り心地がいい高級車ってどうなっているかというと柔らかい振動ですよね。良くも悪くも「雲に乗っているような」という比喩表現が使われる乗り心地ですよね。なぜ柔らかい振動が心地いかというと、柔らかいサスペンションで排気量の大きな重たい車体を支えることで固有振動数を小さく(ゆっくりとした振動に)設定し乗車している人にかかる加速度を小さくしているんですね。つまり、大きくゆっくり揺らすように設計されてるんです。ポイントは重たい車体を柔らかいばねで支えているということですね。そして、ロードノイズにような高い振動数と共振点を外しています。 たとえば、ロードノイズが500Hzの振動(ω)で一般的な車の固有振動数(ωn)が1.2Hzだとすると、ω/ωn=500/1.2=416になりますので、グラフの横軸をはみ出しますが1自由度と仮定した場合の値としては元の振幅の約17万分の1になります。言い換えれば、固有周期1.2Hzの物体を500Hzの振動の細かい振動である一定の加速度で揺らした場合、物体は揺らした加速度の17万分の1の振幅でしか揺れないということです。

共振曲線

作用する加速度が小さいという事は、ニュートンの第二法則で「質量*加速度=力」ですので作用する力が減るんですね。

つまり硬いラックに載せるという事は、柔らかいラックよりも機器に力を加えているという事です。レコードプレイヤーの針なんか想像すると分かり易いですが、針に細かく鋭い振動の外力を加えたくないですよね。柔らかいラックに載せるとゆっくり大きく揺らすことによって針にかかる余計な力が小さくできます。(それが悪影響を与えるかどうかは別問題ですが)

ということで、「剛性の高いラックで振動を抑え込む」というフレーズは変位量を抑制するという観点ではあっていますが、作用する力の観点からは間違っていて「ラックの剛性を大きくするほど、剛性の小さなラックよりも大きな加速度で振動する(より大きな力が作用する)」という真逆の効果となります。

大きく揺らすことが悪みたいな先入観がありますが、作用する力という観点では、圧倒的有利です。

この「大きくゆっくり揺らして力を減らす」考え方がいわゆる免震ってやつです。

このコンセプトのラックが全然市場にないということは、オーディオ業界はやっぱりイメージで成り立ってるんだなと思ってしまいます。メーカーの方々にとってはこの考えは常識だと思うんですが、こんなコンセプトの製品売れないから出さないんだろうなと思う今日この頃でした。

PS4にパソコン用CPUクーラーを取り付けた

 PS5が公開された昨今ですが、本格的な夏に向けて手元のPS4の爆熱対策を実施せねばということで、やっと1年越しに形になりましたので、ブログに載せておきます。(※同じようなことをする場合は自己責任です!)

昨年引っ越した関係で、全くDIYができない今日この頃。以前に図面の作成とケースにする木材の加工だけやっていたのですが、時間がなくPS4もばらばらの状態(一応稼働する状態)で半年放置。。

構想半年(覚悟を決める期間)+製作期間(分解後放置半年、製作1週間)=1年越しです。

ということでPS4に改造を施していきます。

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原形がなくなってしまった。。


1.CPUクーラーの選定

 一番大事な冷却をどうするか。もう小手先ではどうしようもない!CPUクーラーを設置するしかないということで、パソコンショップへ。 おそらく大きなCPUクーラーはいろんな箇所に干渉することが予想されたので比較的小型(薄型)のものを購入しました。で、購入したのがこれ。

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購入したCPUクーラー

 クーラーマスターのHYPER H412Rです。単に安くて薄かったため選定。9cmのファンが付属していますが今回は風量不足で使用しません。  こいつをばらばらにしたPS4に設置していきますが、途中の写真を撮り忘れていたので省略。当然ポン付けできませんので、ステンレスステーを切ったり穴をあけたりして設置していきます。 ※基盤のAPU反対側についているもともとのステーと長いボルトは再利用しています。

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CPUクーラー取り付け部
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ステー部分拡大

短いステーは頑張ってカナノコで切りました。。


2.配線

 細かくは書きませんが、そのまま付けようとするとCPUクーラーと電源ユニットは干渉します。 そのため電源ニットを取り外して、基盤の電極部分からと電源ユニットに配線しています。 なお、電源は意外と能力が大きいので電力ケーブルは注意して購入する必要があります。(自己責任です)

 また、もともと付いていたファンは使用しないので、ファンへの配線部分だけ再利用します。ソケット形状が独特ですので途中で切断して新しいファンの配線に接続しています。次の章で書きますが、ファンを1基から2基へ増設しましたのでファン増設用の分岐ケーブルに接続しました。


3.冷却用ファンの設置

 これが一番大事。ばらばらに分解してCPUクーラー取り付けて配線まで済ませた後試運転で起動させましたが、意外と基盤が発熱することが判明。確かにPS4発売時のネット記事等を見るとPS4本体の側面から吸気して基板表面を冷やして基盤に空いた穴等を通って、負圧でファンに吸い込まれた後、ヒートシンクを通過した後電源部を通り抜けて排気されるというルートになっています。

 このエアフローは、本体をばらしながら分かっていたことでしたが、意外と基盤の発熱が大きく特にもともとファンがあった付近の基盤(図の黄色部分)がかなり発熱していました。発熱の大きい箇所に通風孔を設けていたのですね。。

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もともとのPS4エアフロー

 そこで、薄型の12cmケースファンを上面に設置して吸気と基盤表を冷却させ、CPUクーラーを冷やすファンに角度を持たせて基盤裏と一緒に冷やすことにしました。もともと薄型ファンのみ吸気としていましたが、通常の12cmファンの背面に空間が無くやむなくケースに開口を設けて吸気を2か所にしました。結果かなり冷えたのでOKとしました。

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変更後のエアフロー


4.ケースの設計と製作

 ケースはCPUクーラーを増設する時点でもともとのケースは使用できませんので自作することにしました。せっかくなのでDIYせねばということで木とアクリルで製作することにしました。木材は端材(チェリー)の詰め合わせをヤフオクで購入し、張り合わせて3枚の板を作成。コの字に組んで3面にアクリルをはめ込みます。木材は残念ながら表面処理できる環境になく現在そのままです。。サンダー掛けたい。。上面に薄型12cmファン用の吸気孔を大きくあけています。下の図の青色はアクリル、茶色は支柱(全ねじボルト)です。一部製作しながら変更した箇所もあるので完成図面ではありませんが、こんな感じで図面を作成しました。

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自作ケース正面図

で、完成したものがこちら。まだ、背面のアクリルを設置できていないですがとりあえずの完成版。いろいろ手抜きなので雑ですが。。。

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完成した自作ケースとPS4

 お気づきかと思いますが、ディスクとUSBポートがこのままでは使えません。ディスク入れ替えの際はアクリルをスライドさせれるように溝切っています。また、アクリルの切り欠きは、上でも書きましたがファンの吸気を確保するためのもの。閉め切ってしまうと全然風が当たらず、やむなく切欠きました。。

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正面
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側面

手持ちの12cmファンがずいぶん昔に買った白いファンしかなく非常に残念な見た目。。。なお、白のLEDが内蔵されていますので無駄に光らせることもできますww

上からの眺めがなかなかよいです。

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表基盤冷却用の薄型ファン

ということで、実際の冷却性能もかなりよく、ものすごく冷えます。(当然か!)

PS5発売が見えてきましたので、PS4魔改造の参考でもなれば幸いです。

では!

昨今のコロナに関してマスクの需要と供給量を考えてみた

最近引っ越して団地みたいな集合住宅住まいになり、DIYが全くできていない今日この頃。

新型コロナウイルスの関係で気楽な外出もままならい中、布マスクが2枚配られるらしいニュースが配信されてびっくり。

普通のマスク配れや!と思った人多いのではないでしょうか。

ガーゼマスクが「洗って繰り返し使える」ことをアピールしていましたが、なんでガーゼマスク!

まぁ批判がすごいわけですが、ふと思ったわけです。

「マスクは、今後もずっと需要を満たす量が供給される見込みないんじゃね。。。」

もしや、そのためのガーゼマスクじゃないのか。
ちなみに私は、くれるなら喜んで貰う派ですw

ということで、マスク(一般向け)の需要量と供給量を素人が計算してみました。
(DIYできないから、これぐらいしかやることがない。)




1. 供給量について

まず初めに、マスクの供給量からですが、経済産業省のHPに最近の枚数が掲載されています。
マスクや消毒液やトイレットペーパーの状況 ~不足を解消するために官民連携して対応中です~ (METI/経済産業省)

「マスクについては、政府として生産設備への投資を支援するなど取組を進めてきた結果、電機メーカーのシャープがマスク生産を開始するなど、先月は通常の需要を上回る月6億枚を超える供給を行ったところです。更なる増産を支援し、月7億枚を超える供給を確保する見込みです

ということで、全供給量は7億枚/月として、取り扱います。 しかしながら、生産(輸入含)したすべてのマスクが一般向けではありませんので、ここから一般向けの数字を出す必要があります。

参考にしたのが、「一般社団法人 日本衛生材料工業連合会」のHPです。
一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 | 統計情報

ここのグラフに過去に生産(輸入含)したマスクの内訳が掲載されています。最新は2018年ですので、この数字を使用すると、 2018年の生産量(輸入含)は年間当たり、55億3800万ですが、そのうち産業・医療用は12億5400万枚/年(1億450万枚/月)です。 医療用の需要はあまり変化していないように感じますので、そのままこの数字を使うことにします。


ということで、一般への供給量は、総理発表の7億枚/月から、産業・医療用の1億450万枚/月を引いて、5億9550万枚/月となりました。
今回は、1枚単位ではなく、実際に手元に欲しい「箱」単位で計算したいので、一般的に1箱50枚入りのようでしたので、単位を箱に直すと、供給量は1191万箱/月ということにします。(すべて箱じゃねー袋もあるという意見はめんどくさいので聞きません。)


2. 需要について

さて、需要の計算です。 前提として、個人一人ひとりではなく、実際には1家庭で買い求めるかと思いますので、「世帯」として計算することにします。 日本の総世帯は、H27の国勢調査で、5344万世帯とのことです。なお世帯平均人数は2.47人とのことです。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28.pdf

この世帯が1月あたりどのくらいマスクを消費するか計算します。

今後も引き続きコロナウイルスが猛威を振るうと予想されますので、外出時には1日1枚使用する(みんな使用したい)こととして計算します。 では、「一般人がどの程度外出するか」というのは調べたら出てきました。 www.mlit.go.jp

これによると、平日80.9%、休日59.9%との調査結果でしたので、加重平均すると1日あたり75%が外出することとなります。 この数字を使うと、1世帯がひと月に使用するマスクは、2.47人×30日×75%=55.6人となりますので、55.6枚(約1.1箱)という結果になりました。 これに世帯数(5344万世帯)を掛けると、需要は5941万箱/月となります。


3.結果発表



供給 ひと月あたり 1191万箱
需要 ひと月あたり 5941万箱

(1箱50枚入り)

はい、需要の20%しか供給できない結果になりました。
しかも、例えばひと月に1世帯1箱ずつ合計1191万箱を供給してもその月に1世帯1.1箱消費しますので、需要が全く減らないという悪循環。。 手に入らない訳だ。今後も手に入りそうにないですね。。。

はっ!!そのための、ガーゼマスクか!!(洗って繰り返し使える!!笑)

この結果を見るとガーゼマスクやむなしと思うと同時に、 24時間体制でマスクを製造いただいている皆様に頭が下がる思いを抱くのでした。 ただ、あの総理がつけてるガーゼマスクはないなー。せめてプリーツ付きがいいです。。

(かなり適当に計算した結果ですが、だれかちゃんと計算した版を公開すれば、みんな納得すると思うのですが。)

オーディオラックの振動について考えていること

オーディオラックの振動について以前製作したものを対象に簡単に計算しましたが、考えるところがあり、書き殴ってみます。インターネット等見ていてもあまり参考となる文献や記述がなく、実際のところどういった設計になっているのか気になっています。

オーディオラックを振動させる外力として駆動系部品や、トランス等の振動があるとすれば50Hzもしくは60Hzで振動する可能性があるということで、今回製作したものについては固有振動数から外せているので、よいかと思っています。
先に書いておきますが、ラックの振動が抑えられる事で、音が良くなるとは全く思っていません。あくまでも駆動系の振動等で共振が防げたり異音が発生しなければいいな程度の認識です。
製作したオーディオラックの固有振動数は予想していたよりも小さな振動数となりました。実際に市販してあるオーディオラックと構造自体は似ているため、市販されているものについても同じような固有振動数になるのではと思っています。
今回のラックは、壁のような構造ではなく4本の支柱で支えているため水平方向の剛性はそこまで高くないため比較的小さくなったようです。壁のような構造であればまた変わってくると思います。
 なお剛性を高くして固有振動数を引き上げると、人間の可聴振動数が20Hz~2万Hzといわれていますので、その振動数の音がスピーカーから出てラックを揺らしているとすればオーディオラックの固有値が20Hz以上だとアウトだと考えることもできるわけです。このラックで初めて計算してみましたが、高剛性を謳っている市販のラックが沢山ありますが固有振動数はどの程度なのでしょうか。気になっています。

 振動については、ラックの質量に比べ設置する機器の質量の方が大きくなる場合もあるため、結局のところ機器の質量次第で全体の固有振動数も大きく変わってきますよね。最上段に重たいアンプなんか乗せようものなら、ご想像の通りです。ただ、共振点からはずすという観点に立てばあながち間違いでもないと思っていて、オーディオにおいて考慮する必要のある外力の振動数は比較的高いものばかりのため、オーディオラック全体の固有振動数を低い側へ狙ってセッティングするのはありだと思っています。

振動工学の本を読んだことがあれば見た記憶がある方もいるかと思いますが、下の図は有名な1自由度系の変位共振曲線です。 f:id:khdo:20180724190242j:plain

縦軸は変位の拡大率、横軸は振動数ωと固有振動数ωnとの比率です。

ちなみに、このグラフは、以下の式で減衰定数hを変えることでエクセルで作成しました。

変位の拡大率=1/[{1-(ω/ωn)2}^2+(2hω/ωn)2 ]^(1/2)


ここで各線は減衰定数の違いで、減衰定数が大きくなるほど変位の応答倍率が小さくなります。市販のオーディオラックは、減衰するような部品がありませんので減衰定数hはほぼ0に近いんじゃなないかと思います。 振動数ωが固有振動数ωnと一致するところで、変位の拡大率が大きくなる共振現象がよくわかります。上で固有振動数をずらす話を書き殴りましたが、この図で何が言いたいかというと、オーディオラックの固有振動数を低い振動数側に設定しておけば、外力として想定する振動は振動数が大きい(20Hz~)ため、グラフ右側の状態となり変位の拡大率が小さくできるということです。
なお、拡大率を下げるためには「剛性を上げればいい」、「ラックの重量を重くすればいい」と思われるかもしれませんが、上の式で共振時ω/ωn=1を入れると、変位拡大倍率の式は、変位の拡大率=1/(2h)となり、剛性や質量に影響を受けず、減衰定数のみで決まることが分かります。ラックの剛性をたとえば2倍とか3倍にして拡大前の変位を小さくできても、減衰定数がほぼ0に近く拡大倍率がかなり大きいため、意味がない気がしています。


オーディオラックが欲しいなと思って調べてみたら、よくわからない理論で高額な製品ばかりで、なんだかなー思っていました。自作ラックが流行るのも頷けます。
共振点から外すことの大切さがわかる記事でした。

オーディオラックの設計

オーディオラックやテレビボードをインターネットや家具屋で探したりしますが、なかなか格好いい製品がないんですよね。

仮にあったとしても10万円超えるものだったり、機能的じゃなかったり、手持ちのAV 機器が入らなかったりする訳です。

メーカー製のオーディオラックはかなり高額で、減衰効果を謳ってるものや、反響音を低減するものなど様々なんですが、正直「本当か!?」と疑ってしまいたくなります。

そこそこしっかりしたダサくないラックが欲しいだけなのに

と思っている人多いんじゃないかと思っています。。

というわけで、自分が欲しいオーディオラックを作れないか考えていました。

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※この記事は、オーディオラックの設計について、備忘録的にまとめたものです。なお、出来が良かったので追加で作成したものを某ハンドメイドサイトに出品しています。自作の参考にもどうぞ。


1.設計条件

コンセプトは、「低価格」+「すっきり」+「しっかり」 

なんかコンセプトだけ見ると大丈夫か、と思ってしましますがちゃんとしっかり丈夫なものにしていきます。

早速ですが、設計条件詰めていきます。

  1. シンプルかつすっきりとした構造にする
  2. ラックに収めるものは、レコードプレイヤー、CDプレイヤー、アンプの3点とする。
  3. 排熱を考え、フルオープンな構造にする。(背面を塞がない)
  4. アンプは、ミドルクラス相当のものを収納できる大きさとする。
  5. メンテナンスしやすいようにボルト留め構造とする。
  6. 棚板1層あたりの設計荷重は25kgとする
  7. 可能な限り、振動を考慮する。

こんなところでしょうか。7番目の振動はまぁ参考程度というか極力考慮する程度にしたいと思います。


2.構造詳細

早速ですが、図面です。コンセプトをもとに図面を引きます。

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最上段にレコードプレイヤー、中段にCDプレイヤー、下段にアンプを収納するように設計します。

2.1 レコードプレイヤー収納部分

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ラック最上段がレコードプレイヤー収納部分となります。レコードプレイヤーの大きいもので横幅500mm、奥行400mm程度はあります。製品により脚の部分位置等異なるため、可能な限り最上段はボルトの突起等なくしフラットな面にします。

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棚板に座繰りを掘り込んでワッシャーごと埋め込む案も考えましたが、どうしても段差が出てしまうため、極力フラットにすべく六角穴付き皿ボルトを採用しました。

2.2 CDプレイヤー収納部分

中段はCDプレイヤー収納部分になります。高さ的には、ハイグレードなものでも150mmを超えることは、なかなか無いようですので150mmとします。一般的な製品でだいたい100mm~130mmでしょうか。

2.3 プリメインアンプ収納部分

高さ寸法的にはミドルクラスまでだとだいたい150mm~180mm程度。プリメインアンプ収納部分を余裕みて高く設定しても構造的に弱くなるため、20mm程度の余裕をみて200mmに設定します。横幅も最大で500mmのプリメインアンプを収納できるように設計します。

下図はYAMAHA A-S1100の寸法図です。高さは157mm。もう1クラスアップすると高さが180mm程度になります。 f:id:khdo:20180717154228g:plain A-S1100 - 本体寸法図 - HiFiコンポーネント - ホームシアター・オーディオ - 製品情報 - ヤマハ – 日本 <

2.4 その他共通事項

設計条件に基づき、フルオープンな構造にするため、各棚板を支柱で支える構造にします。また、各棚板の寸法はは支柱位置等考慮して、プリメインアンプ、CDプレイヤーが収納できる多きさの横幅600mm、奥行400mmにします。
設計荷重は、25kgとしました。ミドルクラスのプリメインアンプで最大この程度です。 またすっきりとした構造とするため、支柱は可能な限り細くしたいのですが全体の剛性に影響が出る可能性が高いですので、ぎりぎりのところでM6ボルトを使用したボルト留め構造として設計することにしました。 後の材料や構造計算で触れますが、今回使用する材料は、コンセプトの1つとして低価格な面も求めているため、木材の棚板とします。

3.材料選定

3.1 棚板の選定

棚板の木材は、”硬い”木材とします。ということで、柔らかい針葉樹(スギ、パイン等)は候補から外します。広葉樹で低価格なものとしては、ゴム、タモが選択肢でしょうか。 参考までに、比重の比較です。

【針葉樹】
・スギ  0.38g/cm3
・ヒノキ 0.41g/cm3
・パイン 0.42g/cm3  (メルクシパイン)

【広葉樹】
・ゴム  0.66g/cm3
・タモ  0.69g/cm3

ゴムは、基本的に無垢材としては大きく板をとれないため、集成材の取り扱いとなりますが、価格が安価で比重も大きく強度的に期待できます。また、集成材の方が材料的に無垢材よりも性質が安定して扱いやすいです。 タモはゴムの1.5倍程度の価格差があり、機械的性質にその金額差を上回るメリットがないためゴム集成材を棚板の材料とします。 メーカー製オーディオラックやオーディオボードでもゴム集成材を使用する製品がありますので、材料的にはメーカー製と同等といえるのでは。。

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ゴム集成材
白くて、比較的淡い色彩の木材です。産地は東南アジアがメインです。

参考にラバーウッド集成材を使用したラック↓ 意外と高い。。


3.2 支柱の選定

シンプルですっきしとした印象とするため、支柱は可能な限り細いものとします。そのため、支柱は木材ではなく金属製の支柱としました。 候補としては、アルミ材、鋼材が安価で調達できそうですが、より硬い(ヤング係数が大きい)という視点で材料を考えると鋼材がベターだと判断しました。なお、使用する支柱はSS400の六角支柱(M6)とすることで設計条件の1つであるメンテナンス性を考慮しました。 なお、ステンレスは金額が張るため除外しました。支柱の防錆は四三酸化鉄被膜ですが、室内環境では十分ではないでしょうか。

支柱は両端メスであるため木材との接続は、M6の寸切りボルトで支柱とワッシャーで挟み込み締め付けます。支柱⇒規格(JIS,ISO)ワッシャー⇒特寸ワッシャー⇒棚板⇒特寸ワッシャー⇒規格(JIS,ISO)ワッシャー⇒支柱の順で接続します。棚板には、6mmの孔を開けておきます。 まとめると特寸ワッシャーと支柱で棚板を強固にサンドイッチする構造です。後で触れますが、支柱の締め付け力は支柱の回転角度で管理します。

ここで、特寸ワッシャーとは木材と支柱を強固に締め付けるために木材との接触面に配置する規格外寸法ワッシャーです。今回は直径20mmのものを使用します。 ワッシャーを2枚用いるのは、接合部に応力が集中するため特寸ワッシャーと支柱の応力伝達に配慮したものです。(実際のところ、そこまで曲げが発生するとは考えていませんが。。)

また、オーディオラックの脚部は、今後の拡張性も考慮して容易に取替可能なように袋ナット仕様にしました。後でスパイク等に取替も可能です。

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脚部については写真上から順に、棚板⇒寸切ボルト⇒特寸ワッシャー⇒規格ワッシャー⇒支柱⇒寸切ボルト⇒袋ナットとしました。


組み立てるとこのようになります。

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脚部


4.構造計算

計算するまでもないかとは思いましたが、簡易的に計算したものです。

4.1 材料特性

棚板はゴム集成材として、ゴムの木の物性値は以下の通り。  

・単位重量    0.73g/cm3  
・ヤング係数   11.8gkN/mm2  
・横ヤング係数  0.45gkN/mm2  
・曲げ強さ    97.8N/mm2  
・横圧縮強さ   9.5N/mm2  
・せん断強さ   10.4N/mm2  

支柱は、正六角形断面の鋼製支柱で、物性値は以下の通り。

・材質は、SS400  
・ヤング係数   205×103N/mm2  
・せん断弾性係数 79×103N/mm2  
ポアソン比   0.3  
・密度      7.85×10^-3g/mm3  


4.2 重量の算出

4.2.1 棚板重量の算出

ゴム集成材の棚板寸法は、400mm×600mm×25mmであることから、
400×600×25×7.3×10^-7=4.38kg
なお取り付けのため、φ6㎜の孔を棚板1枚当たり4か所差し引いて、
4.38kg-(b/2)2×3.14×25×7.3×10^-7=4.3794≒4.38
孔引き後の重量は4.38kg/枚
従って、棚板3枚当たり4.38×3=13.14㎏

4.2.2 3柱重量の算出

支柱は、長さの異なる3タイプを使用します。

  1. 150mm×4本
  2. 200mm×4本
  3.  25mm×4本

正六角形の断面積は、3/2h2tan30°で計算できますので、
断面積A=3/2×102×tan30°=86.6mm2

  1. 150mmの支柱1本あたりの重さは、86.6*150*7.85*10^-3=101.97≒102g
  2. 200mmの支柱1本あたりの重さは、86.6*200*7.85*10^-3=135.96≒136g
  3. 25mmの支柱1本あたりの重さは、86.6*25*7.85*10^-3=17.00≒17g

それぞれ、支柱4本ずつ合計すると、支柱合計1.02kg

4.3 棚板の設計

4.3.1 棚板のたわみ

 ラックに乗せる機器で最も重いものは最下段に設置するプリメインアンプとして、その質量は25kgとします。モデルは単純ばりとして取り扱い、支間中央に集中荷重として載荷します。

f:id:khdo:20180718182052p:plain:w250
単純ばり
単純ばりの支間中央でのたわみvは、v=PL3/48EIで計算でき、

v=25×9.8×5203/{48×11.8×103×(400×253/12)}
 =0.1168
 ≒0.12mm

参考程度に、たわみの一般的な許容値は建築関係で支間長に対して250~300分の1程度が一般的。
今回は、より強い構造ということで、1000分の1程度を許容値と仮定して、
v=0.12mm < 520/1000 = 0.5mm

余裕ですね。

4.3.2 棚板の曲げ強度

棚板の曲げモーメントは、支間中央で最大となり、その値は、
M=1/4×PL=1/4×25×9.8×520=31850N・m

f:id:khdo:20180718184908p:plain:w250
M図
板内部の曲げによる応力は、σ=M/I×yで与えられます。
σ=31850/(400*253/12)×(25/2)=0.76N/mm2
ゴム材の曲げ強さは、97.8N/mm2であるから、作用する曲げによる応力は許容値の0.78%となります。
こちらも余裕ですね。

4.3.3 棚板のせん断強度

棚板のせん断応力度は、σ=P/Aにより、
σ=12.5*9.8/(400×25)=0.012N/mm2

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Q図
ゴム材のせん断強さは、10.4N/mm2であるから、作用するせん断応力は許容値の0.1%となります。
余裕です。ここまで余裕があると材料がもったいないと感じてしまいます。

4.4 接合部の照査

編集中です。接合部に作用する曲げモーメントをラーメン構造と仮定して計算しました。結果は満足しています。

5.振動特性(参考)

4.1 棚板の振動

 棚板が鉛直方向に振動するケースを想定します。
棚板を単純ばりとして取り扱うと、単純ばりの曲げ振動は、
固有円振動数 Pn=(λnl)2P0 (λnlは、n=1で3.142、n=2で6.283、n=3で9.425)
ここで、P0=1/l2
(EI/m)1/2 
はりの曲げ剛性EI、支間長I、単位長さ当たりの質量mを入力し、
固有振動数 fn=Pn/2π から、

1次モードの固有振動数 134Hz
2次モードの固有振動数 539Hz

と算出されます。  なお、この振動方向は、棚板が鉛直方向に振動するケースを想定した計算ですが、どちらかといえば、レコードの回転振動、スピーカーの振動方向、その他機械的に駆動する部分を考えると、その振動方向は水平方向なので、鉛直方向に揺らされることはほとんどないものと思っています。

4.2 オーディオラック全体の振動

3自由度の運動方程式を解いてオーディオラック全体の固有振動数を計算します。 記号の添え字がたくさんあるため、PDF形式としました。


ということで、

1次モード 0.43Hz
2次モード 1.03Hz
3次モード 5.35Hz

となりました。

あくまで、参考までの検討でした。