きままなDIY

趣味のDIYの備忘録をメインに、気ままに書きなぐるブログです

オーディオラックを柔らかく支えてみたい

最近何故かアクセス数が伸び始めたので、もう少しオーディオラックの考察記事を書いてみます。

テーマは、表題の通り「オーディオラックを柔らかく支えてみたい」です。

意味が分からないかと思いますが、柔らかい構造にしてオーディオ機器に作用する物理的な力を減らしませんか?という内容です。

内容的には前回の1自由度の共振曲線を前回示したとの同じですが、もう少し分かり易い考察です。

市販の高級そうなオーディオラックや自作しているラックの設計思想を見てみると、いかに硬く、そして強くして振動を抑え込むみたいなコンセプトで溢れています。たとえば物凄い板厚の大きな木材でガチガチに固めたものや支柱の剛性を強くし、かつラーメン構造にしてあったり。そして何故かかなり高価であったり。。

けど考えてみて下さい。自分がオーディオラックに載せられるアンプだとして、ガチガチの硬いものに載った場合に載り心地がよさそうですか?(振動が減らせそうな感じがしますか?)

車を想像すると分かりやすいのですが、乗り心地がいい高級車ってどうなっているかというと柔らかい振動ですよね。良くも悪くも「雲に乗っているような」という比喩表現が使われる乗り心地ですよね。なぜ柔らかい振動が心地いかというと、柔らかいサスペンションで排気量の大きな重たい車体を支えることで固有振動数を小さく(ゆっくりとした振動に)設定し乗車している人にかかる加速度を小さくしているんですね。つまり、大きくゆっくり揺らすように設計されてるんです。ポイントは重たい車体を柔らかいばねで支えているということですね。そして、ロードノイズにような高い振動数と共振点を外しています。 たとえば、ロードノイズが500Hzの振動(ω)で一般的な車の固有振動数(ωn)が1.2Hzだとすると、ω/ωn=500/1.2=416になりますので、グラフの横軸をはみ出しますが1自由度と仮定した場合の値としては元の振幅の約17万分の1になります。言い換えれば、固有周期1.2Hzの物体を500Hzの振動の細かい振動である一定の加速度で揺らした場合、物体は揺らした加速度の17万分の1の振幅でしか揺れないということです。

共振曲線

作用する加速度が小さいという事は、ニュートンの第二法則で「質量*加速度=力」ですので作用する力が減るんですね。

つまり硬いラックに載せるという事は、柔らかいラックよりも機器に力を加えているという事です。レコードプレイヤーの針なんか想像すると分かり易いですが、針に細かく鋭い振動の外力を加えたくないですよね。柔らかいラックに載せるとゆっくり大きく揺らすことによって針にかかる余計な力が小さくできます。(それが悪影響を与えるかどうかは別問題ですが)

ということで、「剛性の高いラックで振動を抑え込む」というフレーズは変位量を抑制するという観点ではあっていますが、作用する力の観点からは間違っていて「ラックの剛性を大きくするほど、剛性の小さなラックよりも大きな加速度で振動する(より大きな力が作用する)」という真逆の効果となります。

大きく揺らすことが悪みたいな先入観がありますが、作用する力という観点では、圧倒的有利です。

この「大きくゆっくり揺らして力を減らす」考え方がいわゆる免震ってやつです。

このコンセプトのラックが全然市場にないということは、オーディオ業界はやっぱりイメージで成り立ってるんだなと思ってしまいます。メーカーの方々にとってはこの考えは常識だと思うんですが、こんなコンセプトの製品売れないから出さないんだろうなと思う今日この頃でした。